ケン テリオ
1958年カナダ生まれ。カナダの小売会社を経て、1995年にコストコホールセールカナダに入社。1998年コストコホールセールジャパン倉庫店運営部長、2006年コストコホールセールカナダ東部地区倉庫店運営部副社長、2009年から同社日本法人社長に就任。
https://www.costco.co.jp/

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INTERVIEW

子育てをする方、出産を控えた方など、女性には様々なライフステージがあります。そして企業は、ダイバーシティを促進していくためにも、そうした女性のみなさんが働きやすい環境をつくり、改善していく努力を怠ってはいけません。女性活躍を推進していこうという考えを持つことは、企業として当然の責務。コストコにとって、当たり前にある文化なのですから。

ケン テリオ

人を活かす人材育成

今後、女性の活躍をさらに推進していくためには、それに見合った正しいプログラムを用意し、適したトレーニングを行う必要性があると考えています。誰がどのような環境に身を置いているのか、どんなキャリアを積んできたのかなど、企業側が社員一人ひとりのデータをちゃんと把握し、その人を活かす人材育成を行っていくことが大切なのです。
これは女性に限った話ではありませんが、働く人には様々な家族の形があり、その数だけ様々なチャレンジの形があります。つまりそのチャレンジを最大限にサポートしていくために、企業側もポジティブな姿勢を見せることが重要です。
たとえば育児休暇を取得した後に職場復帰をしても、ちゃんとポジションが確保されていること。その後もちゃんとキャリアを積んでいけるビジョンを示していくこと。そうした当然の務めを果たしていくことが求められるのです。

ポジションを作り、与えていく

ケン テリオ 当社を例に挙げると、これまで女性が活躍する場が少ないポジションがありました。たとえばマーチャンダイジング(商品陳列)の業務です。この業務は伝統的に男性が任されることが多いポジションだったのですが、それではいけません。こちらから働きかけ、もっと積極的に女性が活躍する場をつくり、意図的に女性を登用し、管理職を任せていく向きに変えていきました。
もちろんそのためには、新しいプログラムも必要になります。12週間に及ぶ女性専門のトレーニングプログラムを設け、さらに女性活躍を増やしていこうと進めているところです。
トレーニングを終えた女性に感想を聞くと、「面白い」「これからももっと商品陳列についての研修を続けていきたい」という女性社員たちのポジティブな意見を耳にすることができました。実際にそういった声が聞けたことは、私にとっても大変嬉しいことです。
さらに具体例を挙げれば、1998年にコストコ日本法人を立ち上げた当初、実は2番目に採用した方が女性でした。彼女は大学を卒業したばかりでしたが、採用してすぐにマーケティングマネージャーというポジションを与えました。初めはいきなりの大役に尻込みをしていましたが、周囲からもサポートを続け、順調にキャリアを積み、副倉庫店長にまで昇進。現在は結婚・出産を機に退職し、主婦になられていますが、またいつか一緒に仕事ができたらいいと思っています。

能力を注視していく企業として

ケン テリオ 現在の日本社会全体を通してみると、女性活躍を推進するための議論を多く交わされていると思いますし、私も当社の代表として、その渦中にいます。それにより、女性が活躍する場をもっとつくっていこうという意識も高まっていると感じています。しかしもっとも大事なことは、議論や意識ではなく、行動です。これまで議論してきた女性活躍に関するアイデアを形にしていくための行動を、当社も率先して行っていかなければいけないと考えています。
現在は全国で4名の女性管理職(倉庫店長)の方が当社で働いていますが、倉庫のトップを任されるということは、当社のキャリアの中でももっともハードルの高いこと。その中で女性のリーダーが多く活躍しているということは大変良い傾向です。また、本社の商品購買部の部長も女性、副部長には3名の女性社員が働いてくれています。
仕事のクオリティを上げていくために大切なことは、性別ではありません。もちろん年齢でもありません。その人の能力なのです。当社はそうした年齢や性別に捉われることなく、その人の能力をちゃんと注視していく企業でありたいと思っています。