岸田雅裕
1961年生まれ。愛媛県松山市出身。東京大学経済学部卒業。ニューヨーク大学スターンスクールMBA修了。パルコ、日本総合研究所、米系及び欧州系コンサルティングファームを経て、2013年にA.T. カーニー入社。消費財・小売、自動車業界を中心に、全社戦略、マーケティング戦略、組織変革などの経営テーマを約20年に亘り支援。2014年より日本代表。
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INTERVIEW

日本オフィスに在籍する女性社員の割合は約4分の1ですが、今後さらにその比率は伸びていくと予想しています。ただ、採用時に性別が影響することは一切ありませんし、男女比に固執する考えもありません。何より大切にしているのは、現在身を置いているプロジェクトがその人に合っているのか、より成長できる仕事環境に身を置いているのかという観点。つまり大前提にしなければいけないのは、一人ひとりが違う個性を持っているのだと理解し、それを尊重していくことです。だれにとってもが働きやすい環境をつくることが、ひいては、女性にとっても働きやすい環境になるのではないかと考えています。

岸田雅裕

ワーク・スマート・チャーターによる働き方改革

当社は、たくさんの個性が寄り集まったコンサルティングファームです。プロジェクトごとにチームを組み、その都度メンバー同士の関係性を築くという特性上、部長と部員のような固定的な上下関係は存在しません。プロジェクトがスタートする前には、ワーク・スマート・チャーターというものをプロジェクトチームごとに作成してもらいます。これは、チームごとに予め働き方のルールを決め、それが守られているかを週次で確認することで、チームメンバーの幸福度を保つための仕組みです。例えば、出退勤の時間や休暇日を設定したり、子育て中のメンバーの勤務時間などを定めたりするチームも多いです。会社側からトップダウンで働き方を決めていくのではなく、チームの意思を一番に尊重してもらおうという考えのもと、社内に向けて働き方のルールをその都度公表してもらっています。今はテクノロジーも進化していますし、プロジェクトによっては在宅でできる仕事もあるでしょう。出社せずに仕事したほうが生産性が高いとチームが判断したのであれば、それを尊重するべきです。実際に働く人が働き方を決める。そうした柔軟な考え方が大事だと思っています。会社がその受け皿を持つことで、より社員の自主性を高めるだけでなく、働きやすい環境づくりに繋がっていくでしょう。それがひいては、女性活躍の推進にもなると思っています。

性差に捉われないことが、女性活躍の鍵を握る

岸田雅裕 また当社では、男性コンサルタントもごく普通に育児休暇を取得しています。もちろん女性は100%育児休暇を取得しますが、男性も育児休暇を取って育児の大変さを身をもって体験することで、自分自身やチームの働き方を見つめ直す大きなきっかけになります。もし、毎日遅くまで働くようなスタイルを続けてしまえば、家族への配慮に欠けてしまうことだってあるかもしれませんし、女性だけでなく男性の働き方も改善していくことで、社員の配偶者のキャリア継続をサポートすることもできると考えています。

皆が働きやすい環境とは何か

岸田雅裕 我々の仕事の価値は、立場が作るものではありません。どんな立場のメンバーであれ、いいアイデアを出した人がスターです。組織として動かなければいけない時はヒエラルキーも大切になることもありますが、知恵を出す時にヒエラルキーは関係ありません。そのためには個々が働きやすいと思える環境づくりが大切になっていきますし、個を尊重する仕組みを会社がつくっていかなければいけないのだと考えています。
女性にも男性にもライフイベントが多様にあります。当事者にしかわからないる家庭の事情だってあるはずです。その中で、個々の強みや弱みをうまく補い合いながらプロジェクトを進めていくこと、「お互い様なんだ」という意識のもと仕事を進めていくことが、女性も男性も国籍も文化も関係なく、皆が働きやすい環境づくりに繋がっていくと考えています。