坂内将佑貴
1995年に国立新潟大学医学部を卒業後、外科に所属。同大学院卒業後、医学博士取得。2007に年大手美容外科グループへ入職し、分院長に就任。BANNAI式オリジナル3D注入法を開発以来、多くの手術経験と実績を持つ。2013年には美容外科専門医(JSAS)取得。オリジナル手技を日本美容外科学会のシンポジウムで発表するなどの実績を持つ。2020年3月銀座3丁目・BANNAI美容クリニック院長に就任、現在に至る。
https://ginza3-bb.com/

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INTERVIEW

「銀座3丁目・BANNAI美容クリニック」の坂内院長は、独立前から豊胸手術の手腕を発揮し、多くの女性患者から支持されてきた。一般にこの手術だけで経営が成り立つのも特殊な業界で、脂肪豊胸手術を専門に扱いながら2022年で開業3年目を迎えている。「やっぱり世の中、他者貢献がどんだけできてナンボです」と笑み語りながら、バストへの苦悩や、コンプレックスを超えた先の生き方、そして、女性の社会的な幸福にも温かな目を向けている。

坂内将佑貴

ほんとうに求めているのは「大きなバスト」ではない

多くの女性にとってバストは単なるセックスシンボルを超えた女性のパワーの源のようなものなのだと、私はこの仕事を通じて患者さんたちから教えられました。年齢もライフステージも関係なく、バストの苦悩は心を委縮させますし、また、苦悩が解消されれば表情も行動も輝き出す。多くの女性患者さんとのご縁を通じ、豊胸手術の社会的使命を改めて感じているところです。
脂肪豊胸手術には幾つかのメリットがあります。まずは、患者さん自身の脂肪を用いることで拒絶反応の可能性が極めて低いこと。つぎに、温かさや柔らかさといった質感で、身体の動きにも自然に適用すること。また、近年はシリコンの経年弊害も幾つか報告されており、そのような懸念を持ち合わせないこともメリットでしょう。ただし、脂肪手術でもあっても乳腺が成長して大きくなったような自然で美しいフォルムを叶えなければ、女性患者さんの苦悩の解消には至らない。患者さんが求めているのは心の萎縮からの解放であって「大きなバスト」そのものではないからです。
そこで私は2008年に「BANNAI式オリジナル3D注入法」を開発します。併せて開発した独自のカニューレを駆使し、解剖学的に適した位置に上手く皮膚を剥離しながら注入する手法で、バージスラインを同心円状に広く象り、バストを自然な美しさへと導く手法です。

心の萎縮を解き放つ

坂内将佑貴 「BANNAI式オリジナル3D注入法」は、3000症以上の実績を重ね、日本全国はもとより、アメリカなど海外からも来院されています。以来、多数の手術件数や口コミサイトなどで紹介されたことと並行して、多くの女性がバストの苦悩を抱えていることに実感を強くしています。一般に「自己実現」を叶えてゆくには内面の研鑽が語られますが、美容外科はそれとは逆のアクセスです。外面の悩みを緩和することで、その人が元来秘めていた輝きが引き出され、圧迫されていた積極性や行動力が解放される。私の考える美容外科のゴールとは、まさにここにあるわけです。「大きなバスト」はフックであり、その後の人生への動機づけへとつなげていくのは患者さん自身の輝きなのです。身体は代替えの利かない自分自身であり、装飾なんかではありません。だからこそ、苦悩であるバストにご自身が納得できる自然なフォルムを適えなければなりませんし、不自然な飾りのように施術してはならないのです。「BANNAI式オリジナル3D注入法」はそのためにあるといって過言ではありません。そんな女性たちの輝きを手助けすることが私自身の使命なのです。

術後の経過観察に来られた患者さんの表情が活き活きと輝き出すとき、その輝きはパートナーやお子さんといったご家族はもちろん、周囲の方々にも伝播している様子が窺えます。1人の女性から周囲へと幸福や活力が広がっていく、そう考えると美容外科が社会に果たす役割にも見逃せないものがあります。

知見・技術をシェア。永続的な女性の幸福を…

坂内将佑貴 昨今、看過できないのが他院修正事案の多さです。先述の通り、患者さんが本質的に望まれているのは「大きなバスト」ではなく、心の萎縮からの解放です。ここに辿り着かなかった豊胸手術の修正を受けるにつれ、私自身の手術法や技術の伝承と拡大の必要性を感じています。私はこの技術を「幸運にも身に着けることができた」と考えています。世に患者さんが居る限り、術式は必ず前進しカニューレ等の器具も進化し続ける。その過程に「BANNAI式オリジナル3D注入法」があり、それは社会貢献への糧としてシェアされていくべきものと考えています。今後の課題は、解剖学的な視座からのレクチャーに加え、独自開発カニューレの使用方法や臨床実績のフォローまでを包囲した医師人材の育成です。術式だけの安易な拡大や、独自開発カニューレの販売などといったものではなく、体系として体得した医師を増やしていきたい。そうすることで、業界全体のスタンダードをレベルアップに導いていきたいと決意しています。
女性特有の苦悩と対峙する中で、社会における女性の幸福にも思うところがあります。いま語られがちな「男女平等」には、まだまだ議論の余地があるのではないか?と。女性には女性にしか活躍できない場が確かにある。それでも男性と同ステージへと立たせることを平等と呼ぶには疑問があります。女性ならではの役割や強みに対しての理解が世の中に広まってこそ、1人1人の女性が自分らしくパフォーマンスを発揮できる基盤が確立するのではないでしょうか。女性特有の身体「バスト」の苦悩を超えた先の笑顔に「女性のパワーの源」を垣間見る私としては、そのように思えてなりません。