藤東淳也
1968年広島県生まれ。1993年東京医科大学卒。東京医科大学病院、同大学八王子医療センターなどを経て、2002年アメリカ・カンザス大学へ留学。2004年に帰国し、東京医科大学病院、県立広島病院(婦人科部長)勤務。2010年6月、広島県安芸郡府中町にて藤東クリニックを開院。日本産科婦人科学会専門医。医学博士。
https://fujito.clinic/home/

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INTERVIEW

女性の一生を考えたときにいちばん大きな出来事となるのは、やはり妊娠・出産であろうかと思います。基本的にはその診療がメインにはなるのですが、それを機に、女性のトータルライフに関わり、女性のライフワークを大切にしながら、患者一人ひとりに寄り添った診療を目指したいと思っています。

藤東淳也

「助産外来」の設置

受診される患者の状況はさまざまで、どのように対応をすれば適切であるか、その答えはひとつではありません。一人ひとりに寄り添う「時間」が何より大切だと考えています。何度も接していくうちにその方の考え方がわかるようになり、少しずつ信頼関係を築いていくことで、お互いを理解し合えるような話ができるようになる。どれだけ素晴らしく的確な治療方法があっても、それを淡々と進めるのではなく、その前段階として患者さんが何を悩んでいるのかを丁寧にうかがうようにし、気持ちを理解するように努めています。同様に、当院のスタッフにも患者さんにたくさん会って声をかけてほしいと指導するとともに、できるだけ患者さんと接する機会を作りたいと思い、開院と同時に「助産外来」を導入しました。当院でお産をされる妊婦さんを対象とした助産師による妊婦健診や保健指導で、医師と連携しながら一人ずつゆったりと行っています。そもそも医師だけでは解決できないことが多く、スタッフのサポートがなければ診療は成り立ちませんし、患者さんにとっても、医師以外の人から話を聞くことができ、医師には直接伝えづらいことを話せる機会があるのはとても大事なことではないかと思います。

産婦人科医の立場から考える女性の社会進出

藤東淳也 私は女性が仕事をするのはとても良いことだと思っておりますし、社会的にも女性の力を活用することはますます必須になってきているのではと感じます。しかし、妊娠・出産というライフイベントが起こったとき、どうしても男性より女性の方が仕事をセーブせざるを得ない状況になることが多い。常に同じ力で働き続けるということは難しいかもしれませんが、ライフステージに応じて仕事の増減ができるようにするなど、女性の働き方についてはある程度考慮されるべきだと思います。
受診する患者さんも仕事を持っている方が多く、妊娠がわかって喜んだ後、仕事はどうしたらいいのでしょうかと聞かれることがよくあります。いまの時代、妊娠しても産休に入るまでは仕事をすることが普通になってきましたし、地方自治体など行政の方でもさまざまな支援をしてくれるようになりました。それらの支援制度が患者さんたちになかなか浸透していないなど問題もあるのですが、ぜひ活用していただきたいところです。また、子育てが一段落して仕事に復帰される場合、しばらく休んだことで不安があるかもしれませんが、さまざまな経験をしたことによる強みも出てくると思います。女性が生き生きと輝けるよう、産婦人科医の立場から貢献していきたいと考えています。

地域に根ざした診療で女性のトータルライフに関わり続ける

藤東淳也 女性の20~40代は子宮筋腫や子宮内膜症など婦人科系のトラブルが起こりやすい年代で、生理不順や生理痛は10代から気をつけた方がいいと言われています。無理をしてしまうと数年後に影響が出ることもありますので、少しでもからだの不調を感じたときは、気軽に産婦人科を受診してほしいと思います。我々も患者さんとの信頼関係をより深く築いていくために、地域に根ざした診療で患者さんのトータルライフに関わり続けることができるよう、これからも日々努力していきたいと思います。