- ヘレン・フォン・ライス
- スウェーデン・マルメ出身。ルンド大学を卒業後、1998年にIKEA Communicationsに入社。2007年までインフォメーションマネージャーとして勤務後、同社の執行役員に。2011年に中国・深圳のストアマネージャー、2013年からアメリカ法人副社長を務めた後、現職に至る。趣味は料理。二児の子を持つ母親でもある。
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。
2017年現在、イケアジャパンで働く女性は全従業員の70%、そのうち女性の管理職は全体の50%を占めています。それだけ多くの女性たちが、我々のブランドを支えてくれているのです。今後も、日本社会全体の女性活躍を推進していくうえで、イケア・ジャパンがポジティブな役割を果たせる組織であり続けていきたいという思いは変わりません。女性がイキイキと活躍できる環境づくりに注力していきながら、さらなる飛躍を続けていきたいと考えています。
私とイケアとの出会いは、高校生の時でした。学業の傍ら、小遣い稼ぎのためのアルバイトとして、地元スウェーデン・マルメのイケアで働き始めたのです。大学ではマーケティングを専攻し、卒業後には別の会社に就職。しかし、イケアで働いていた時の充実した毎日がふと恋しくなりました。外の世界を見て改めて、イケアで働くことがいかに楽しかったのか、ということに気づかされたのです。
そして1998年に、カタログを発行しているIKEA Communicationsに入社。商品開発の拠点であるIKEA of Swedenでインフォメーションマネージャーという職務を任され、様々な業務に携わりました。とくに、人と働くことの楽しさに大きなやりがいを見出すことができたのもこの時です。大学で専攻していたマーケティングやコミュニケーションが、私のバックグラウンドでもあったからでしょう。
私はその後、中国・深圳のストアマネージャーとして2年間の赴任を経験し、アメリカ法人の副社長を務めるなど、様々な職務を経験しながらキャリアを積んできましたが、イケアという組織の中で働き始めて今日に至るまで、女性として働いたことがネックになったという記憶は一度もありません。二人の子を授かり、子育てをしながら仕事をしていてもです。その理由はまず一つ、イケアという組織が「自分らしさ」を何よりも大切にしている会社だからでしょう。我々は働く従業員すべての人が、性別や国籍に捉われず、自分らしく楽しく働いてもらうことを第一に望んでいるのです。
イケアは、独自のバリュー&カルチャー(価値観と文化)を強く持った会社です。どの業務に携わっていても同じバリュー、同じカルチャーを感じることができるのが特徴でもあります。またビジネスにおける意志決定の場においても、そうしたバリューに基づいて決定しています。その中で、「より快適な毎日をより多くの方々に」というビジョンを全世界で共有しながら、自分らしさを忘れずに仕事に向き合ってもらいたい。それが女性の活躍を推進していくためにも大切なことなのではないでしょうか。私自身もそこに惹かれてイケアで働き始め、どこにいても充実した毎日を送ることができ、女性らしく、自分らしくいることができたのです。
女性には、たくさんのライフステージがあります。それに伴い、女性が働きやすい環境づくりをしていく必要があるでしょう。
たとえば、本社に隣接する託児所を設けたこともその一つ。国内第9号店として新たにオープンしたIKEA長久手の店舗内にも託児所を設けました。今後は、店舗内託児所を全店舗に導入していきたいと考えているところです。
また、女性のキャリアプランをもっと長期的な視野で捉えながら、長く安心して働ける環境づくりを促進していくことも重要だと考えています。そのための取り組みの一つとして、管理職がフルタイムでひとりで働くだけでなく、パートタイムで複数の管理職が業務を分け合うような、より柔軟性のある、女性に合った働き方を提案していくようにしています。組織の中では働く時間や業務をシェアしながら、誰しもが働く以外の時間や生活を大切にしなければいけません。私自身も2児の母として、家族で過ごす時間はとても貴重なものですから。
私が仕事と家庭と両立するうえでとくに心がけていることは、オンとオフをしっかり分けて考えていることです。子どもと遊ぶ時間は仕事を忘れて遊び、仕事が始まれば家事や育児のことを忘れて仕事だけに集中する。それが私にとって自分らしい生き方であり、そうした自分らしさを受け入れてくれるのが、イケアらしさなのです。
もし日本において、スイッチの切替に悩む方が多いるのであれば、それは環境、制度が十分に成されていないことが原因でしょう。もしかしたら日本の文化、歴史にも起因しているのかもしません。ただ日本は、歴史や文化を重んじながらも、一方でとても先進的でイノベーティブな国だと思っています。テクノロジーだって発展しています。ですから、長い歴史のなかで築かれた文化や風土なども、状況に応じてスピーディーに変えていくことができると思っています。そのためのディスカッションをもっと多く行うことが、非常に大切だと感じます。