石橋典子
1975年東京都生まれ。学習院大学法学部政治学科卒。株式会社ウェザーニューズ、株式会社アクシスにてセールス・企画・ブランディング業務等に携わる。大病完治や出産を経て健康の大切さを実感、産後にピラティスを習得し2009年からインストラクターとして活動開始。2015年クライアントの要望によりカウンセリングのみのメニュー始動。コロナ禍の影響によりニーズが高まり、2020年末に11年間続けていたピラティスセッション終了、カウンセリングに一本化。カウンセラーとしてメンタルヘルスの重要性を伝えている。

※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。

INTERVIEW

ピラティスインストラクターとして多くの女性と接する中で「今日は身体が辛くて動けない」という方のお話を伺う所から、私のカウンセリングが始まりました。キャリア女性や専業主婦、女性経営者や個人事業主など、20代~70代まで様々なクライアントに対応。子育てや介護の悩みに、復職や転職を考える方。さらには、離婚を視野に経済的自立を模索する女性やシングルマザーまで。女性という性別からは避けられないライフステージ変化の不安や苦悩を、私自身の経験で受け止め、私自身の言葉で伝え続け、7年目となっています。

石橋典子

自ら自分の気持ちを傷つけている女性たち

多くのクライアントとセッションを重ねながら思うのが、ものごとの解釈がネガティブとなり、それがクセ付き、自ら自分の気持ちを傷つけている人が多い、ということです。その背景には、世の中から受け取る「女性の幸福とは〇〇だ」といった概念に縛りつけられている、といったことがあるのでしょう。言うまでもなく、「働いているから」「結婚しているから」「子どもがいるから」といって幸福が担保されるわけではありません。自分にとっての幸福は皆それぞれに異なり、年齢やライフステージによっても濃淡があります。その人にとっての幸福を描けなければ、いつまでも「自分とは別の人」を目指し続ける苦悩を持ち合わせなければなりません。まずは、そのことに気付いていただく。それが私のセッションです。
「目からウロコが落ちました」と笑顔になるクライアントも多いのですが、私の導き方は真新しい考えを発見させるようなものではありません。答えは、クライアント自身の中にあり、客観的な事実の整理だけで今後の歩み方を見出せることもあります。例えば、苦悩の源が身体疲労に起因しているケースはよく見受けられます。また、労働と家事と育児のバランスが崩れているケースも多い。疲れていれば生活が回らないのは当然なのに「周囲の女性は上手く出来ていることが自分にはできない」とさらに自身を追い込んでいく。これでは、日常の幸福や快適はもちろん、将来的に進みたい方向も見誤りかねません。

ライフステージにおいて「最適」を選ぶ権利

石橋典子 昨今、女性が社会で働くということに多くの課題が散見されています。妊娠出産で第一線を退いた後に復帰したい方、世帯収入を増やす必要に迫られている方、働くことで自己実現を適えたい方など様々です。私のセッションでは、子どもの年齢や特性、現在の住環境、自身の年齢など、事実の整理をお手伝いし「どれだけの時間を労働に割り振れるのか」を1日単位や曜日単位にリアルな感覚として落とし込んでいきます。より具体的な計画に必要なのは、自身の健康を過度に見積もらないこと。そして、周囲のサポート量も把握しておくこと。「自分だけでなんとかしよう」など到底無理なのだと直観しなければ、現実的なアクションに移行できるはずがないのです。仕事に対する自身の適正を「どれだけ身を粉にできるか」で推し測り、「仕事=能力の証明」といった視点から承認欲求がカラ周るクライアントも多く見てきました。それが自身の健康面や家族関係の歪みに繋がるケースもあります。セッション内では、フルタイムで働くことだけが自身の問題の解決にはならないことにも目を向けていただきます。社会で奮闘する家族へのサポートも価値ある「活躍」ですし、地域社会への経済活動以外の貢献も「活躍」と言えます。どう社会と関わるのかは、自分の幸福観と現時点でのライフステージに応じて「最適を選ぶ権利」があるわけですから。

自分の軸で快適さや幸福を感じられること

石橋典子 セッションでお伝えすることは私自身の経験が反映されることも多いです。苦難のあった幼少期や、健康を省みなかった新入社員の頃、専業主婦時代もありましたし、離婚から個人事業主として軌道に乗せるまで。そして、シングルマザーとしての子育てと仕事の両立も。クライアントの中には起業を志す方もおられ、情報の得方や人脈への繋ぎに、SNSやリモートの活用法をお伝えすることもあります。もちろん、結婚や出産に子育てといった経年とライフステージ変化も鑑み、新しいことに挑む前の事前調整も共に考えていきます。その上で、これはすべての女性に言えることですが、「無謀な頑張りはしない」ことを確認し合います。「母親らしさ」や「働く女性とは…」といった思い込みを外し、自分の軸で快適さや幸福を感じられることが重要なのです。そのためにこそ、1人で頑張らずに周囲を頼り、周囲と調和する思考習慣を身に付けて欲しいと願っています。
女性が無理のない状態で社会と関わり続けることで、イキイキとしたエネルギーを様々な表現で世に伝え、社会にとっての有形無形な財産を育んでいく。そんな大人の姿は、次世代の子どもたちにも希望を抱かせるはずです。カウンセリングと言うと、まだまだ日本では暗いイメージもあるかもしれませんが、迷いを減らし決意を強化して、自信を持って自身の資質を開花するきっかけにして欲しい、心のメンテナンスや心磨きをもっと気軽な気持ちで受けに来ていただきたいと思っています。