- 石黒不二代
- 愛知県出身。名古屋大学経済学部卒業。ブラザー工業にて海外向けマーケティング、スワロフスキー・ジャパンにて新規事業担当のマネージャーを務めたあと、スタンフォード大学経営大学院に入学、MBA(経営学修士)取得。94年シリコンバレーでハイテク系コンサルティング会社を起業。99年ネットイヤーグループの日本での創業に参画、社長兼CEO(最高経営責任者)に就任、2000年より現職。
- https://www.netyear.net/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。
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女性は自信の無さから、自分のリミットを自分で決めてカプセルを作ってしまう傾向があります。「こっちの方が女性っぽい」という基準で選択しがちで、男性が選ぶものを女性は選んでいない事実は実際に多くあります。でも、それはものすごく勿体ない話です。私は女性であっても子供が居ても、それを理由に何かを諦めたことはありません。女性は“ちゃんと自分で選ぶ”ということを、もっとどんどんやったらいいと思います。
当社は、デジタルマーケティングのサービスを大企業を中心に提供しています。大量にものを作って皆が同じものを使っていた時代は、テレビなどのマスメディアを使ったマーケティングが中心でした。しかし今は全く異なり、利用者の興味や関心は多岐に渡ります。
また「このサイトから情報を得たい」「このデバイスを使って購入したい」「店舗ではなくECサイトで買いたい」など、製品そのものだけでなく購買の一連の体験も重視しています。そんな時代に最も効果的なのがデジタルマーケティングです。情報があふれる時代となった今、必要な情報だけを選択できて、最適なタイミングで最適な情報やサービスにリーチできること、それが最高の顧客体験だと言われております。私たちはデジタルを使ってその人の興味関心をリアルタイムで分析し、その人にマッチする広告やコンテンツを出すなど最適な施策を打つことで、そのような最高の顧客体験を実現しています。
私が四年制大学を卒業した頃は、四大を出た女性には仕事がない時代でした。私もアルバイトから始めましたが、やがて時代が変わり始めて四大卒の女性にも仕事のオファーがくるようになりました。
そこからはブラザー工業株式会社に就職し、6年ほど欧米向けのマーケティングと営業を担当しました。海外の顧客と話して製品の仕様を決めたり、それをプロモーションする業務です。そこに女性差別はなく、やったことを公平に評価してくれる環境だったので有難かったです。差別を感じる人もいたかもしれませんが、私は気づきませんでした。性格によるのかもしれません。
その後は外資系企業に勤めましたが、その中で「もう一度純粋で真面目なエンジニアと働きたい」と思うようになりました。その後、子どもが生まれたことをきっかけにスタンフォード大学でMBAを取得したのですが、そこでもう一度ITを一からやり直したいと考え、卒業後にシリコンバレーで自分の会社をつくりました。99年ごろにネットイヤーグループのアメリカ法人の経営権の買い取りに参加して、本社を日本に移行して今に至ります。
女性が社会で活躍することに対しては、依然として逆風も吹いていますし、差別もありますよね。もちろんそれは解消されなくてはいけないことですが、実は私は女性側にも問題があると思っているんです。女性は比較的自分のリミットを超えられない、超えようとしないマインドセットの方が多い。職業選択の際にも、やりたいことではなく出来そうな仕事を選んでしまう傾向があります。例えば、女性はファッション、小売、雑貨の仕事を選びがちで、あまりIT企業で働こうとか、まさか鉄鋼会社を始めようとは思わないと思います。なぜならそこまで出来る自信がないから。でもそれってすごく勿体ないことです。そういう考え方はそろそろ止めたほうが良い。まわりがやらせてくれないからと人のせいにするのではなく、ちゃんと自分でやりたいものを選ぶことが大切です。例えばITが好きなら遠慮しないでITをやる、「この市場で自分がやればもっと結果が出せる」と思うならやる。そうしないと何も変わらないままです。
自分の力を信じて、自分に制限をかけないで、やりたいことをどんどんやって欲しいと思います。ロールモデルと同じことをやっても、時代が違うのだから同じポジションには就けません。例え失敗しても、とにかく自分のやりたいことをやりましょう。やりたいことが分からなかったら、誰もやっていないことをやってみて下さい。そこから得られる失敗が自分を成長させてくれます。好きなことを選んだら、全部自分で責任を取ることが出来ます。ここなら自分の力を発揮できるという場所で、遠慮なく好きなことに突き進んでほしいですね。