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- 株式会社リクルートホールディングス
執行役員 兼
株式会社リクルートスタッフィング 代表取締役社長
- 柏村美生

- 柏村美生
- https://www.r-staffing.co.jp/corporate/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。

リクルートスタッフィングの実業(人材派遣業)そのものが、「女性のための働き方サポート」といっても過言ではありません。もともと派遣スタッフは女性が圧倒的に多く、そのスタッフの働き方を創意工夫することは当たり前に取り組んできたことでした。私自身、「女性は結婚や出産・育児など、幸せの変数が多い」ということをよく言っていますが、その多様な「幸せ」のためにサポートできることは何なのか、それを常に考え、行動に移していくことが大切なのだと考えています。

思いを形にするために
私がリクルートの門をたたいた時から、描いていた思いがあります。それは、「すべての人に役割のある社会を創りたい」ということ。この理想は現在でも変わらず持ち続けていますが、その中でも女性のサポートは大きなテーマです。女性派遣スタッフの方々に向けた仕事環境の改善にも力を入れており、とくに「育休明けの仕事復帰」は積極的に取り組むべき分野の一つだと思っています。出産を経験された女性の多くは、「育休後に会社に戻れるのだろうか?」「戻れても同じポジションが確保されているのだろうか?」と、様々な不安を抱えている方が多い。育休後も安心して仕事に復帰できるよう双方で連携を図りながら、その人のライフステージに合った働き方を提案できるようにしたいと考えています。
実際にその効果は年々上がってきていて、2013年頃まで仕事復帰をする方が3割弱だったのが、2017年現在では6割近くの方々が仕事復帰を実現している状況です。また他にも、様々な取り組みを同時進行しています。たとえば、ぎゅっと凝縮した時間の中で最大限の成果を発揮するためのリクルートグループで取り組んでいる新しい働き方の概念である「ZIP WORK」。これは「短時間での働き方」が注目を集めてきた中で、「日短をする働き方」もあっていいのではないかという、リクルートならではの取り組みの一つです。私自身もすごく面白い試みだと思っていて、仕事と家庭の両立が求められる共働き夫婦にとっても、起業の準備や学びたい方にとっても、良い改善策になっていると感じています。女性活躍を推進していく上でも大きなステップになっていくのではないでしょうか。また、働き方を浸透させていくためには、働く側だけが変わっても意味がありません。働く人を受け入れるマネジメント側の意識や制度の改善努力を続けることが、とても重要なんです。
思い切り欲張ることが、両立の秘訣
とはいえ、仕事と家庭を両立しようと思い悩んでいる女性も多いですよね。でも私はいつも、女性社員に対してこんな話をします。「仕事と家庭、出産など、天秤にかけなければならないような時、女性はちゃんと大切なものを選んで前に進めるから大丈夫。今は思い切り欲張って、思い切り苦労して頑張りなさい」と。
実際に私も27歳で結婚をして、29歳から35歳までの間に二度、中国に赴任した経験があります。海外では当たり前のことですが、日本ではレアなケースですよね。でも中国へ行こうと決めた時も、帰任する時も、もちろん夫の理解があっての単身赴任だったわけですが、ちゃんと自分にとって大切なものを選びながら前に進むことができました。あまり思い悩まずに、思い切り欲張った結果です。だから私自身、仕事と家庭の両立にジレンマを感じたことは一度もない。それは働き方も同じで、30代を迎える頃から18時半以降のミーティングは行いません。自分の仕事の時間は自分が決めることだと思っているからです。
女性の働き方を見つめながら
現在、当社の女性社員に対しても雇用改善に向けた様々な機会を作るようにしています。その一つとなる「Career Cafe 28」は、28歳で一度未来設計を立ててみようというもの。たとえば「35歳までに子供がほしいけど妊活はいつから?」など、女性ならではの見えない不安を先輩社員とざっくばらんに話せる機会を作っています。また女性リーダーの集まりでは、女性がリーダーならではの「気づき」を共有、意見をヒアリングしてきました。そこから課題を解決していくことで、新しい仕組みが生まれます。社員が解決したい社会の課題を持ち帰ってくると、みんなでその解決方法を考える。そしてそれを実際にサービスに昇華すのは、リクルートの得意とするところですから。