大村秀章
1960年生まれ。愛知県出身。東京大学法学部卒業。農林水産省に入省。1996年、第41回衆議院議員総選挙で初当選。その後、経済産業大臣政務官、内閣府大臣政務官、内閣府副大臣を歴任。2011年より愛知県知事。
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INTERVIEW

少子高齢化の進行に伴い、生産年齢の人口は大幅な減少が見込まれています。また、製造品出荷額等が39年連続で日本一の「モノづくり」県である愛知県では、人口性比をみると、男性比率が高いという特徴もあります。
そこで愛知県では、2013年に初の女性副知事を起用したことを契機に、県庁内に部局横断組織である「あいち女性の活躍促進プロジェクトチーム」を設置、女性の活躍に向けて取り組んできました。働く場における女性の活躍は、愛知県の発展・成長を支える重要な鍵であると考えているからです。
今後も、「女性が元気に働き続けられる愛知」、「女性が輝き、女性が最も働きやすい愛知」の実現を目指し、様々な取組を行っていく考えです。

大村秀章

「隗より始めよ」の観点で

2017年4月1日現在、愛知県庁職員の女性割合は37.6%。そのうち女性管理職の割合は9.7%に上り、いずれも増加傾向にあります。2014年2月には「女性職員の活躍促進に向けた取組指針」を策定し、「策定時6.7%であった女性職員の管理職割合を2020年度までに10%にする」という数値目標も掲げました。指針策定後、事務職の女性職員を初めて本庁の部長に登用したほか、次長、主管課長など、これまで女性が配置されてこなかったポストへの登用も進めています。
日本で女性管理職の割合が低いのは、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」といった固定的性別役割分担意識や、長時間労働を前提とする労働モデルの影響により、企業も女性自身も女性のキャリア形成に積極的でなかったことが大きな原因だと考えられます。
愛知県としては今後も、「隗より始めよ」の観点から女性の登用を積極的に推進し、管理職に登用されて活躍する女性職員のロールモデルをさらに増やしていきたい。そうすることで若い職員の意識も着実に変化していくと期待しています。

愛知県が考える、ワーク・ライフ・バランス

大村秀章 効率的な組織運営をしていくためには、職員のワーク・ライフ・バランスを推進し、その持てる力を最大限に発揮させるための環境を整えることが必要です。
愛知県では2015年6月に「職員のワーク・ライフ・バランス推進要綱」を策定し、毎年7・8月を「ワーク・ライフ・バランス推進強化月間」として、時間外勤務の縮減や休暇の取得促進などの取組を、管理職員リードのもと、職員一丸となって強力に進めているところです。
また愛知県では、「あいちワーク・ライフ・バランス推進運動」を活性化させる中で、官民一体で働きやすい職場環境づくりに向けた気運の醸成にも取り組んできました。先に行われた「県内一斉ノー残業デー」では、私も金山総合駅で通勤される皆さんに街頭啓発活動を行い、2017年11月の定時退社には、延べ約41万8千人の方々に賛同をいただきました。これは、昨年度の約39万2千人を上回り、この運動の趣旨が県内企業に確実に浸透してきている証でもあるでしょう。
県では、育児や介護の事情を抱える職員に配慮し、今後は時差勤務の取得要件や時間帯を拡大し、柔軟な働き方をより推進していきたいと考えています。
県が率先して職員のワーク・ライフ・バランスを推進することは、その効果が県庁内に止まらず、愛知県全体にも波及するものであると思っています。
今後も、男性女性を問わず、すべての職員が活躍できる職場環境を目指していきたいと考えているところです。

女性の「定着」と「活躍」の拡大に向けて

大村秀章 「あいち女性の活躍促進プロジェクトチーム」では、「女性が元気に働き続けられる愛知」の実現を目指し、働く場における「定着」と「活躍」の拡大に向けた取組を続けてきました。
企業における女性活躍を促進するための活動をはじめ、ワーク・ライフ・バランスの推進、保育サービスの充実、女性の再就職や起業支援にも注力。そのほか、女性が活躍する産業の振興や女性の雇用促進について検討する「あいち・ウーマノミクス研究会」を開催したり、学生へのキャリア教育を充実させるなど、全庁を挙げて幅広く事業を展開しています。
また、国が2020年東京オリンピックの開会式にあたる7月24日を「テレワーク・デイ」と位置付けるなど、テレワークによる働き方もさらなる注目を集めていくことになるでしょう。とくに今後は、「仕事と育児」や「仕事と介護」、「仕事と治療」などの両立支援が必要不可欠になっていく時代。そのための支援策の一つとしても、テレワークは大変意義のあるものだと考えています。
愛知県としても女性の働き方の裾野を広げるため、中小企業の方々にテレワークの意義、必要性を積極的に伝えていきたいと思っていますし、愛知県が今後も発展していくためにも、女性をはじめとした多様な人材の力を最大限に発揮していただけるような環境改善を続けていきたいと思っています。
企業に向けて女性活躍を促すために、企業トップのメッセージを表明する「女性の活躍促進宣言」の募集や、女性活躍に向けて積極的に取り組んでいる企業を「あいち女性輝きカンパニー」として認証し、県もPRに一役買っています。2017年12月末時点で、宣言企業数が1,048社、認証企業数も347社を数えました。
県内企業の99%以上を占める中小企業に関しては、経営者を対象に、好事例や具体的な取組手法等をまとめたハンドブックを活用したセミナーを開催しています。2017年度からは、県だけではなく、金融機関の渉外担当者など、企業の実情に精通した方々から地元の中小企業の経営者に女性の活躍を働きかけていただく取組も進めているところです。