
- 田島恭子
- 1990年、不二サッシ株式会社入社。97年、結婚を機に退職。2008年、岐阜自動車輸送株式会社に入社。事務などの業務に10年従事し、2018年、同社代表取締役社長に就任。現在に至る。
- https://gifujidosyayusou.jp/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。
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当社のコア事業は主に二点あります。トヨタ輸送株式会社殿の協力会社として新車配送業務を行うこと、そして岐阜車体工業株式会社殿で製造された新車の構内移動業務です。理念は「あんぜんを、その先へ」。新車を扱い、かつ輸送を担っているのは当社の社員です。そのため、業務においても車体と人、すべての安全を最重視しています。無事故・無災害で車体を運びきり、社員が無事に帰ってこられるよう、日々のコミュニケーションも大切にしています。

私が代表取締役に就任したきっかけは父でした。父の姉が辞めることをきっかけに、私が招かれる形で入社することに。そうして10年勤め上げ、いつものように業務をしていたある日、父から事業承継および代表取締役交代の話があったのです。私も当社で経験を積み上げてきたうえ、会社自体も長い歴史を紡いできたため、「私がやるしかない」と心を決めました。そして、誰にも相談せずに事業承継の話を了承したのです。今振り返ると、私が継承する前まで、父はしっかりと会社の地盤を固めてくれていたのだと思います。私に苦労をなるべく背負わせないようにという父の想いを受け取り、こうして私は代表取締役に就任しました。当社ではさまざまな年齢の方が業務に従事しています。その幅は、私の子ども世代から夫世代にまで及びます。時には母親目線や妻目線で社員を見守りながら気遣いをしたり、逆に相手から声をかけてもらうこともあります。仕事の話題だけでなく、こうした自然なコミュニケーションも大切だからです。
一方で、仕事の場では必要なやり取りだけを重視する方もいます。そうした方々に対しても、気遣う言葉を一言二言忘れないことを心がけています。一人ひとりの人柄を見極めながら、適切なコミュニケーションを取ることが重要だと考えています。当社に入社してくれたからには、私は全員をしっかりと守る責任があります。
今後も社員全員が自信と誇りをもって業務に集中できるよう、私自身も注力していきます。
現在、当社では三名の女性社員が在籍し、新車の構内移動業務に従事していただいています。働く時間帯はそれぞれの事情に合わせた柔軟な働き方を取り入れており、二名は昼勤と夜勤をこなし、一名は昼勤をメインとして働いています。女性にとって運送業界に踏み込むことは、勇気が必要な場合も多いでしょう。近年では女性人材も増加しつつありますが、依然として運送業界は男性が主流であり、そうしたイメージも根強く残っています。だからこそ、入社していただいたからには一人ひとりを大切にし、働きやすい体制を整えていきたいと考えています。
柔軟な働き方は女性に限ったものではありません。男女を問わず、誰もがそれぞれ事情やニーズを抱えています。当社が最も重視する「安全な輸送」は、誰にでも務まるものではありません。だからこそ、当社に根付き、責任をもって業務を遂行してくれる社員を大切にしたいのです。
また、当社では定年を60歳としていますが、65歳までは待遇を変えることはありません。さらに、65歳以降は1年ごとの契約を通じて、70歳まで働いていただくことが可能です。実際に、年齢を理由に継続勤務について相談してきた社員もいましたが、特に問題がなかったため快く了承し、「頑張って」と応援の言葉をかけました。こうした取り組みにより、長年当社に従事してくれる方が多く、離職率も低く保たれていると感じています。
祖父、父の代を経て、当社は創業70年を超えることができました。ここまで歩んでこられたのは、祖父や父、そして私の代に至るまで、社員全員が日々丁寧な仕事を積み重ねてきたからこそだと思います。その一つひとつの積み重ねによって、現在までトヨタ輸送株式会社殿の信頼をお預かりし、事業を継続することができています。私の代では、この歴史を70年から80年へと紡いでいくことを一つの目標としています。そのためには、地域に根差した企業であることも欠かせません。なぜなら、大型トレーラーによる輸送業務を行っている以上、時には地域の皆様にご迷惑をおかけしてしまうこともあるからです。だからこそ、無事故・無災害、安全第一を常に意識し、地域に支えられているという感謝の気持ちを忘れてはならないと考えています。こうした地域との関わりこそが、当社の未来を切り拓く重要な鍵になるでしょう。
運送業界に飛び込んだ一人として、女性が一歩を踏み出すには大きな勇気が必要な場面があることを、私は身をもって知っています。だからこそ、迷っているのであれば、一歩前に進んでほしいとお伝えしたいです。挑戦しなかった後悔の方が、挑戦した結果の失敗よりも大きいと感じるからです。失敗は確かに怖いものですが、そこから得られる学びは大きな財産になります。
私自身も、事業を通じて新たな挑戦を恐れず前進していきたいと考えています。今後も当社の未来のため、邁進してまいります。