吉岡範人
1978年生まれ、千葉県出身。産婦人科医の父と助産師の母の元で自然と自身も産婦人科の医師を目指すように。聖マリアンナ医科大学にて婦人科腫瘍を専門に学ぶ。2003年に卒業後同大学の初期臨床研修センターに配属。一般産婦人科に加え救命救急、内科、外科、小児科を学ぶ。13年、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学への留学を経験。大学病院で活動したのち19年つづきレディスクリニック理事長に就任。医師として女性の生活をサポートする。
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INTERVIEW

「お仕事はほどほどに」と優しい制限をかけるよりも、「あなたにこの仕事を任せたい」と期待をかけた方が、女性は<働きやすい>のかもしれない。同じ女性の患者さんに対して、熱量と情熱を注ぐ女性スタッフたちを眺めながら、そう考えるに至ります。女性スタッフが活き活きと活躍できる当クリニックと、女性として健康で美しく生きていきたいという患者さんとの好循環が、よりよい社会を作っていく、そう信じています。

吉岡範人

女性の心に寄り添うVIO脱毛

女性は各年代それぞれに、女性ならではの心身不調を抱えています。「女性の一生を看てゆく」ことを信条とする当クリニックでは、婦人科医療単体だけでなく「プラスα」の視点で、患者さんたちを支えてきました。例えば、プラセンタ療法やダイエット外来に医療脱毛など、女性をトータルにサポートする診療科を構築。診療範囲は、10代の月経困難症から婦人科腫瘍の訪問診療まで、まさに女性のライフサイクルの全てです。病だけに焦点を当てるではなく、社会に生きるひとりの女性をサポートする私の婦人科医療は、いま多くの女性スタッフによって支えられてもいます。
例えば、医療脱毛もそのひとつ。特にVIO脱毛は妊娠前の準備や婦人科疾患の手術前、また、終末医療に備え始める更年期周辺の方々にも産婦人科医としての目線でお勧めしています。エステ脱毛とは異なり、蓄熱式のレーザーを使うので、VIO部分でも痛みが非常に少ないのが特徴。患者さん対応のメインとなるのは当クリニックの女性スタッフたちで、同性として不安や恥ずかしい気持ちに寄り添える点が強みなのはもちろんですが、それ以上の利点が彼女たちの「主体性」です。患者さんひとり一人の心象や痛覚に応じて最適な施術手法を同性視点から考え、自ら提案を練り、医師である私と共有していく。患者さんのために「自ら考え/自ら動く」この姿勢が、施術を受ける方々の心強さにつながっていることは間違いありません。私の婦人科医療は、そんな彼女たちなくして成り立たないのです。

もう我慢をさせない!「月経困難」

吉岡範人 医療界では医師と看護師の関係がトップダウンになりがちです。ですが、女性スタッフたちが自発的・主体的に考えて行動する当クリニックでは、社会でもっと活躍したい女性たちを支えることができる、私はそう考えています。例えば、当クリニックの「スポーツ医学外来」。「婦人科医療」に「スポーツ」をプラスαした発想から、貧血や生理痛などの月経困難症に悩むアスリート女性を応援しています。それだけでなく、高校や大学受験を控えた女子学生にも、月経困難の緩和は心強い準備となるでしょう。さらには、働き始めてからのプレゼンテーションや重要な商談も。女性患者さんの多くは「生理痛」に苦悩しているのではないのです。月経困難によって自身のパフォーマンスが社会に充分に発揮できないこと、そのこと自体に苦悩を抱えているのです。女性スタッフたちは女性患者さんたちの悩みの吐露を受け取り、医師である私は症状に応じて痛みを緩和するピルの使用や、経血量把握の為にも月経カップの利用を提案しています。当クリニックが掲げる女性トータルサポートは一般的ではないとはいえ、既に多くの女性に支持され、実際の来院者数は急速に増加しています。言い換えれば、いかにこれまで女性たちに「我慢」の選択肢しかなかったのかを物語っており、今後はすべての女性により多くの受け皿を用意しなくてはならないと、切実な危機感を感じています。そのために今の私が求めているのは、志を同じくする同士なのです。

女性のための総合サポート施設構想

吉岡範人 婦人科医療単体だけでなく「プラスα」の視点で女性をトータルにサポートする。そんな活動に賛同してくださる医師や各分野の専門の方々と共に、私独りでは成しえることのできないサポートシステムを構築していくことが目下の目標です。
私の「医療×〇〇」という発想に制限はありません。例えば当クリニックの女性スタッフたちには<上質なホスピタリティを体験する>研修として、ハイエンドレストランでの食事機会を提供しています。それも、ご家族と一緒に。彼女たちの働きがいを支えてくれるご家族への感謝も込めた研修企画で、本人はもちろんご家族からも好評を得ています。このように、まだまだイメージや発案は無限でありたい…そう思いながら、女性たちへのトータルサポートを適える総合施設の構想も練っています。メディカルケア、ヘルスケア、ビューティーケアなどをビル一棟に集約し「あそこに行けば困りごとが解決できる」といった希望や安心を総合的に適えるひとつの施設です。10代の学生も、働く女性も、子育て中のお母さんも、気軽に立ち寄って相談したり解決へと結び付けたりできる場所ですね。医療に限らず、エステやネイルに占いルームやFP相談なんかがあってもよい。多角的にも包囲的にも「あなたにはバックアップがある」と支えられて安心を得ることで、女性たちが存分に自身の資質を開花できる。そんな社会であれば、女性だけでなく誰もが幸福に近づけるのだと、私は信じています。